広島県福山市の中心街から車で10分ほど離れた場所に、
大規模な温浴施設「華の湯」がある。
都会の喧騒から離れ、ゆったりとした時間が流れるこの場所を訪れた日、
私は不思議な体験をすることになった。
■都会から離れゆく道のり
午後3時過ぎ、私は福山市の中心街を出発した。
目的地は、芦田川の目と鼻の先にあるスーパー健康ランド「華の湯」だ。
カーナビゲーションに従いしばらく走ると、
都会の景色が次第に田園風景に変わっていく。
遠くに芦田川の流れが見え隠れする中を進んでいくと、
やがて白亜の巨大な建物が視界に入った。
そこが私の目的地「華の湯」だった。
華の湯は、天然温泉を備えた日帰りのスーパー健康ランドであるが、併設されているルートイングランティア福山の宿泊客も利用できる充実した温泉施設でもある。駐車場に車を止め、建物に向かうと、近くの芦田川の流れる音が聞こえてくるようだ。受付で入場手続きを済ませ、館内に入ると、まるで別世界に迷い込んだかのような不思議な気分に包まれた。木の香りがするようで不思議と心が静まるようであった。
■湧き出す癒しの湯
更衣室で浴衣に着替え、大浴場へと向かった。
開けた扉の向こうには、広大な露天風呂エリアが広がっていた。
そこでは、地下200mの奥底から湧き出した温泉が、岩造りの浴槽でゆったりと湛えられていた。
この温泉は、神経痛、筋肉痛、関節痛等のからだの疲れを和らげてくれるらしい。
私はゆっくりとその浴槽に身を沈め、
川の流れを感じさせる音に耳を傾けながら、
体の力を抜いていった。
すると不思議なことに、
その音のリズムに合わせて体の緊張がほぐれていくのを感じた。
時折、風によって運ばれてくる木々の香りも、私を別世界へと誘う。
温泉に浸かりながら目を閉じると、まるで深い森の中にいるかのような錯覚さえ覚えた。
都会を離れ、自然の音に吸い込まれる。
そんな体験に、不思議な癒しを感じずにはいられない。
■極上の休息を運ぶ風
湯船を出ると、サウナエリアが目に入った。
高温の熱気でたっぷり発汗させるタワーサウナに入ると、
熱気とともに木々の香りが濃厚に広がっていた。
高温の空間に身を置くと、すぐに体からたっぷりと汗が噴き出してくる。
そうして発汗することで、体内に溜まった老廃物が排出される。
温度が高く、肌を潤しながら汗を流すミストサウナもあるようだが、次回の楽しみに取っておくことにした。
サウナから出るとさらさらの肌触りを感じ、深い休息に包まれた。
時折館内を吹き抜ける風が、木々の香りを運んでくるようだ。
そんな風の気流に乗って、極上の休息感が私のもとへとやってきた。
気づけば、すっかり時間を忘れていた。
この施設に来る前は、福山市内の仕事に追われる毎日だった。
しかし今、そんな日常は遥か彼方の出来事のように思えた。
~スーパー健康ランド 華の湯~
福山の都会から離れた芦田川沿いに位置する「華の湯」は、単なるスーパー銭湯ではない。
この施設には、都会の喧騒から解き放たれるための、さまざまな工夫が凝らされている。
まず目に付くのが、フロント対応の良さだ。ホテル並みのきちんとした態度で、来場者を温かく出迎えてくれる。そして広々とした無料駐車場も完備されており、利用者の利便性が考えられている。
1階には、湯上がりの休憩に適した空間が設けられている。
ゆったりとしたソファエリアに、子供たちが遊べるキッズスペースも備えられている。施設側が利用者サービスの向上に積極的に取り組んでいる姿勢がうかがえ、好感が持てる。
お風呂自体は2階に男女で別れる入口があり、それぞれのエリアが定期的に入れ替わる仕組みになっている。檜風呂エリア「和(なごみ)の湯」は、全体に木の温もりを感じる空間で、まるで森の中に囲まれているかのような非日常的な気分に浸れる。
一方の「蔵の湯」は、石造りの浴槽を中心に構成された異空間。岩のザラついた肌触りと、高級感漂う石の雰囲気に圧倒される。
この2つの異なる浴槽エリアを、行く度に楽しめるという嬉しい仕掛けだ。
広い敷地内には、簡易的ながらも開放感のある露天風呂や、ひとりで入れる壷風呂などのバリエーションも用意されている。すべての浴槽は循環式となっているが、物足りなさは感じない。
3階部分には更に休憩スペースが設けられ、お食事処や居酒屋も営業している。
こちらも適度な価格で、十分に満足のいく品質だ。また、スタッフの対応も好感が持てる。
ホテルクラスの高いレベルで、一般のスーパー銭湯とは違う”何か”を感じさせてくれる。
そして何より、この施設のある場所が最高だ。かつては芦田川の三角州だったらしい。在りし日の情景に思いを巡らすと、時折川の流れる音が施設内に響いてくるような錯覚に襲われる。都会の喧騒から離れ、自然の癒やしに包まれる、そんな体験ができるのが「華の湯」の最大の魅力なのかもしれない。
いわゆる日帰り温浴施設ながら、ここにはスーパー銭湯を一歩抜きん出た、何か特別なものがあるのだ。都会の中の、しかし都会からは隔絶された、不思議な癒やしの空間がここには存在する。
■不思議な湯に導かれて
帰路に着く頃には、すっかり日が落ちかけていた。
温泉街から車を走らせると、ふと芦田川に立ち寄ろうかと思いつく。
車を路肩に寄せ、川沿いに降りてみる。
川面に夕日の残り香が揺らめき、さらりと流れる水面からは心地よい音が響いてくる。
私は川岸に腰を下ろし、しばしその光景に見入った。
周りを見渡せば、川沿いのBBQ広場からはにぎやかな談笑の音が聞こえてくる。
しかし、そんな賑やかな空間とは無縁に、私の心は深い静けさに包まれていた。
温浴施設に身を沈め、心身ともに癒されたことで、
まるで夢からさめたような、
そして同時に新たな夢の入り口を見つけたような、
そんな不思議な気分に浸っていたのだ。
しばらくすると、街の灯りが視界に入り、現実に引き戻された。
身も心も解き放たれた私は、ゆっくりと立ち上がり、車へと戻っていった。
福山市の中心街へ近づくにつれ、徐々に街の喧噪が回復してくる。
しかし、私の内なる静寂の中には、今しがた出会った不思議な湯の体験が、静かに息づいていた。
都会の中にあるはずなのに、都会からは隔絶された癒しの空間が、確かにそこには存在した。
この小さな湯への旅は、私に新たな発見をもたらしてくれた。
福山には多くの魅力に溢れている。
今日の出会いを忘れずに、次の魅力を探す小さな旅を明日から楽しむことにしよう。
■アクセス
・〒720-0825 広島県福山市沖野上町5丁目27−11
・TEL:084-922-5511
https://www.route-inn.co.jp/hananoyu-fukuyama/
サウナIN福山市 スーパー銭湯施設 (福山市のサウナ施設を8つ)
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