福山市の隣に広がる、のどかな里山に位置する「神石高原温泉」は、強アルカリ性で全国的にも珍しいpH10.2の湯が湧く秘境であり、美肌の湯として知られています。
紅葉の季節には、万華鏡のように色とりどりに変わる景色が楽しめる神石高原。
四季折々の自然に恵まれた穏やかな温泉街では、このように肌に優しい湯に出会うことは珍しいです。
湯上がりの心地よい疲れと、すべすべになった肌の感触に、私は小さな旅の記憶を新たにしました。
夕暮れ時の井戸端会議
長い長い車窓の景色を眺めながら、私はようやく目的地である神石高原温泉に辿り着きました。初めての方はしばしば「かみいし」と間違えがちですが、正しくは「じんせき」と読みます。駐車場から受付へ向おうとすると、目に入ったきたのは大きな「ご休憩所」の文字。そして、井戸端で年配の男女が一団となって話しているのが見えました。
「おっちゃん、今日もこの時間かいね」
「ほれほれ、温泉で汗を流したらどうじゃ」
そう言いながら、彼らはにこやかに会釈を交わします。これが彼らの日課のようです。私が足を止めると、一人の白髪の老婦人が私に気づき、夕日に透ける笑顔で話しかけてくれました。
「もちろん、若い人も大歓迎じゃよ。この井戸端で世間話に付き合ってくれたら嬉しいわ」
肌を潤す極上の湯
浴場へと足を運びますと、そこには想像を絶するような湯がありました。まるで白くとろけたプリンを想わせる濁り湯が、ゆったりと香り立っています。
受付の方に聞くと、この温泉は平成6年に旧三和町井関で発見された「さんわ温泉」の源泉を利用しており、pH10.2の強アルカリ性のため、全国的にもまれに見る泉質だそうです。
この源泉を100%使用した神石高原温泉化粧水「まぼろしの雫」は、温泉に入浴した際と同様の効果が期待でき、大変人気があるそうです。
私は湯船に足を投げ入れると、なめらかな湯が私の疲れた身体を優しく包み込んでくれました。ひどく強くはありませんが、しっとりとした刺激があります。それでいて決して荒くはなく、むしろ上品な肌触りを感じさせてくれます。
そうこうするうちに、お湯が徐々に肌に浸透していくのがわかります。垢すり落とす石鹸の必要もなく、ただただ湯に身を委ねているだけで、身体の古い角質が優しく剥がれ落ちていくのがわかりました。
極上の湯に浸り、思い出に浸る
時間が経つにつれ、温泉の湯がじわじわと体に浸透し、心地よい眠気が私を包み込んでいきました。ぼんやりとしながら、この瞬間が美肌の湯からの贈り物であると感じて、昔の思い出にふけりながら、極上の温泉を五感で堪能することにしました。
幼い頃、祖父に連れられて車でいつも遠出をしたものです。その時、祖父の愛車の窓から見える風景は、私にとってあまり印象に残らないものでした。しかし、そのひとときが、いつの間にか愛おしい思い出に変わりました。
湯船に浸かって目を閉じると、私は幼い日々を思い出し、未来の世代への願いを抱いている自分に気づきました。この極上の湯に心も体も癒されている間に、心の中で新しい旅の方向を見つけ出したのかもしれません。
湯上がりに淹れた一杯の茶を啜りながら、心が和む時間を過ごしました。疲れが吹き飛び、新たな気持ちで人生の次なる旅路を歩んでいけるように感じました。この秘境の湯は、そうした新しい出発への羅針盤となってくれたのです。
施設情報
■神石高原温泉
・〒720-1602 広島県神石郡神石高原町井関1282
・TEL:0847-85-3553
・泉質:単純弱放射能温泉
・効能:高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
・備考:pH10.2の強アルカリ性で全国的に珍しい湯質
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