かつて、広島の宮島の近くに、ひっそりと美しい温泉が湧く場所があるという噂を聞いた。 その名も「べにまんさくの湯」。 宮島を臨む浜辺として名付けられた宮浜温泉にある日帰り温泉施設である。 温泉好きの心をくすぐるその名前の由来と、 宮島の自然に抱かれながら楽しむ温泉の魅力を紐解いていこう。
ちなみにべにまんさくとは、紅満作と書き、中秋に深紅色に染まる葉を持つ落葉低木である広島県指定の天然記念物である。 この植物は、「幸福の再来」を含む複数の花言葉を有している。 そのハート形の葉は特徴的で、秋には特に美しいかわいらしい紅葉が見られることで知られている。
宮島の麓、ひそかに咲く温泉物語
宮島の厳島神社への参拝後、少し足を延ばすと、べにまんさくの湯の暖かな灯りが旅人を迎え入れる。 この場所は、古くから「神の島」として崇められ、多くの文人墨客に愛されてきた。 そんな歴史ある地にふさわしく、べにまんさくの湯は現代に古の魅力を伝えるかのよう。 湯船に浸かりながら、季節ごとに変わる美しい景色を眺めれば、心まで洗われる感覚に陥る。
余談だが、宮島というのは通称である。 正式には厳島（いつくしま）と国土地理院によって定められているが、宮島のほうが認知度が高いかも知れない。 また、日本三景の一つとして数えられる「あきの宮島」であるが、 実際は、旧国名の地名「安芸（あき）の宮島」であり、紅葉が美しいことから「秋の宮島」と勘違いされることが多い。
温泉の恵み、肌と心に優しく
べにまんさくの湯は高台に位置し、露天風呂からは海を一望できる日帰り温泉施設である。 源泉は、地下深くから湧き出る天然の温泉。 白湯、日替わり湯や水風呂などがあり、 露天風呂では大きな岩風呂、檜風呂、ジェットバスなど、バラエティに富んだ8つの湯舟が迎えてくれる。
この地でしか味わえない特別な成分を含む温泉は、温泉が持つ温熱効果により、血行が促進され、日々の疲れが癒してくれる。 また、温泉水は肌に優しく、自然の保湿成分が乾燥を防ぎ、美肌効果も期待できる。 訪れる人々は、身体だけでなく心も温まるこの場所の魅力に魅了されていく。
サウナで心身をリフレッシュ
べにまんさくの湯では、温泉だけでなく、サウナも楽しめる。 サウナには、デトックス効果や免疫力の向上、ストレス解消など、多くの健康効果が期待されている。 高温の中で心地よい汗を流すことで、体内の老廃物を排出し、新たなエネルギーを得ることができる。 サウナ後の一瞬の冷涼感は、まさに至福の時。身体の芯からリフレッシュされる感覚を味わえる。
お風呂やサウナを利用した後は、すでにリフレッシュされ満足感を得ていると思うが、2階に位置するテラスガーデンや、海の幸・山の幸に恵まれた地勢からの食材を提供する併設のレストラン湯屋わたやでは、瀬戸内海を一望しながら憩いの時間を過ごせるため、さらなる充実感が得られるだろう。ぜひご利用いただきたい。
宮島からほど近く、心休まる時を
べにまんさくの湯からの帰路には、宮島の自然が旅人を優しく包み込む。 四季折々の風景が、温泉で癒された心と体をさらに穏やかにしてくれる。 ここでは、時間がゆっくりと流れ、日常の忙しさを忘れさせてくれる。 宮島という特別な場所に隣接するべにまんさくの湯は、訪れる人々にとって、忘れがたい思い出となるだろう。
宮島から一番近い温泉施設、べにまんさくの湯は、ただの温泉地以上の意味を持つ。 歴史と自然に囲まれたこの場所で過ごす時間は、訪れる人々の心に深く刻まれ、日常生活に新たな息吹をもたらす。 温泉の恵みとともに、ぜひ一度、この特別な体験を自らの肌で感じてみてはいかがだろうか。
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